2020.07.27
一昨日、ちょうど「琥珀」の制作中に鈴虫が届いたと書きました。
それはどういうことかとか言いますと、私の「琥珀」は虫入り琥珀のことだからです。
「琥珀」はもう20年近く前から作り続けています。
万華鏡を作り始めるずっと前から、鉱物が好きで集めていたのですが、
虫入り琥珀もその中にありました。
最初「琥珀」は5ポイント3ミラーの広がりのある映像でした。
それを2ミラーに変更したのは、表現したいテーマに2ミラーの方が合っていると思ったからです。
永遠の時間の中で微かに明滅する生命の痕跡。
かっこつけすぎ(笑)?
時間は広がりではなく、永遠は闇だと思ったのでした。
そんな孤独を表現するためには2ミラーの方が相応しいと思ったのでした。
二等辺三角形の第三面(底面)には、ほんの少しも光が入らないように、遮光シートを貼っています。
私にとって、オブジェクトと同等に闇は大切な要素なのですが、「琥珀」には特に大切でした。
自分の作品の説明をするなんて、なんだか情けない。
でも、黙っていたら私が表現したかったものが何なのかは絶対に伝わらない。
作品だけで立っていられるだけの力がないのです。
先日、展示したらもう作品に頑張ってもらうしかない、と書きました。
その舌の根も乾かぬうちに、こんなことを書いている。
自分の非力が悔しいです。
でも、このことを頭に置いて、「琥珀」をもう一度見てほしいと恥を忍んで思いました。
外側のガラスを繋げる「はんだ」についてはずっと迷い続けてきました。
お買い上げいただいた後のお手入れが簡単だからと銀色のままにしたり、
パティーナで銅色に染めたり。
カッパーパティーナで染めて磨いて、今は銅色と金色の間くらいに光っています。
これから輝きが消えて、茶色くなっていきます。
これが「琥珀」に相応しい色なのだと、今は思います。
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