Blog

2020.07.10

片隅23

細野さんの個展では今までにない試みで楽しませていただきました。
最終日お越しくださった方々には心から御礼申し上げます。
時間をかけてじっくり見てくださる、そのそばにいられるだけで嬉しさで胸がいっぱいになっているのに、何でもないような素振りで座っている。
いったん展示した以上、あとは作品が自分で頑張ってくれるしかなく、
私は平気な顔をして黙って窓の景色を眺めているしかない。

今、私にとってお客様の目は一番厳しい目です。それはお客様に対する私の信頼でもあります。
でも、本当に望んでいるのは、作り手とお客様の間に立つ専門店やギャラリーにそれ以上の一番厳しい目を持ってほしいということです。
作り手である私はとても弱い。慣れや油断や不勉強や、そして老いで作品の質を落としてしまうのは簡単なことです。そういう質の悪いものを世に出さないために、間に立つ専門店やギャラリーにしっかりと防波堤になってなってほしいのです。
ダメな作品は作り手に突き返してほしいのです。
売れるとか売れないではなく、作品が高いレベルを保っているか、それを見極めるセンスと目を持って、作家に対して正しい力を持っていてほしいのです。

このことは細野さんとの会話でも言い続けたことです。
作り手とお店とお客様が対等の力を持って作用しあって、初めて良い万華鏡が生まれるのだと私は思っています。
私の万華鏡はアートではありません。
私の作品はすべて私自身です。でも同時に私を消していきたいと思っています。

今日は私の63歳の誕生日です。
だから、記念に、本当に思っていることを書きました。

写真はね、ライト付きの老眼鏡です。
文房具屋でたまたま見つけて、買ってみたら、それがとても良いのですよ。
うふふ…






イメージ