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2020.05.27

片隅16

「うす~いレモンの小さな三角」
突然脈絡もなく頭の中に現れた言葉。
ん?なんだろう?
しばらく手探りで記憶の道を辿っているうちに、辿り着いたのが写真のご飯。
正確にはそうではないのだけれど。

それは子供の頃母が作っていたもので、私が憶えているのは、ご飯にレモンが入っていたということだけなのです。
母は、断面が藤の花の海苔巻きや、卵の黄身がたっぷり乗ったミモザサラダのような、
綺麗な食べ物を作るのが好きだったので、たぶんレモンのご飯には鮭のサーモンピンクが入っていたに違いないと思いました。

レモンはそのままでは酸っぱ過ぎるので、
ほんの少しの砂糖でサッと煮て、鮭の塩焼きと一緒に酢飯に混ぜて白胡麻を振る。
食べてみると、少し苦いけれどレモンの香りがして、予想通りの簡単で単純な味です。
きっと私は綺麗だから好きだったのだと思います。
うす~いレモンの小さな三角
子供の私は、そういう子供らしい言葉で、自分の中に残していったのだなあと思いました。
それが何十年もたって黄色い蝶々のようにひらひらと、こんなお婆さんの前に現れる。

楽しいことはまだまだあるなと思いました。
予想もつかないことが、自分の中からやってくることもあるかもしれないなと、思いました。

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