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2020.05.16

片隅13

雨がざあっと降ってくる前に、ドクダミを見に行ってきました。
私にとっては、地面に真っ白い星が散りばめられる特別な季節の始まりです。


しばらく前から癌で闘病中の、歳上の友人から久しぶりに電話がありました。
ずっと独身で仕事をしてきて、定年退職後静岡の海の近くに20年暮らしてきました。
数か月前にお見舞いに行った時には、「あの方(樹木希林さんのこと)の本も読んだけれど、私はまだ死ぬ覚悟ができないの」と言っていました。
腫瘍の場所がとても難しいところにあり、ステージが低いにも拘らず「生きて手術室から出してあげることができない」と手術は断られたそうです。

都会の病院の関係者である彼女の友人に、都心の病院にかかるように強く勧められたけれど、断ったそうです。
「ここに骨を埋めるつもりで、ここで生まれたような顔をして暮らしてきたの。
だからここの病院の先生が精一杯のことをしてくれるなら、それで死んでもかまわないの。
なにかあればすぐに都会の方を向くような生き方はしたくないの」
彼女らしいと思いました。

都会から地方に移り住み、地域の人たちを田舎者と蔑みながら生きた人を知っています。
人それぞれ、年齢やたくさんの事情や心情や考え方がありますから、どちらが立派と言ってはならないとわかっています。こういうことを書くこと自体が間違っているのかもしれません。

私自身の年齢や事情のせいか、世の中の状況のせいか、死ぬ準備をしつつ生きることに慣れてきました。
多くの場合、人は生きるように死ぬんだなあ、そして生きたように死ぬんだな、と思いました。


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