2018.01.06
ずっと前のこと。知らない方から突然電話があり、万華鏡を作ったことがある。
その方のお母様が肺癌を患っていらして、お母様へのプレゼントにとお作りした。
その後、そのお母様本人から「暗室の薔薇」の注文を受けた。
「暗室の薔薇」は私の万華鏡の中では、病気の方の気持ちを慰めることができるようには思われず、
少し明るく優しい映像にしようか、とずいぶん悩んだが、結局いつも通りの「暗室の薔薇」を作ってお送りした。
その後その方がどうしていらっしゃるか、お元気でいらっしゃるか、存じ上げない。
それで本当に良かったのか、私は自分を抑えるべきだったのか、
そのことを考えると今でもなぜか悲しい。そしてまだ迷っている。
癌の再発に怯える私の日々が、その答えを教えてくれるだろうか。
すぐに不安な気持ちに溺れてしまって集中できない。
それでも手を動かすこと。
オブジェクトケースを作った。陶の万華鏡のために。
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