2016.09.16
ヒグチユウコの『すきになったら』という絵本を読んで、
本屋で泣いた。
買って帰り、家で、何度も泣いた。
主人公は可愛らしい少女の姿をしている。
少女がすきになった相手は、ワニの姿をしている。
「すきになったら しりたくなる」から始まり、
すきになったらどうなるか、誰でも知っていることが、短い言葉で、
でも、たった今水の中から拾い上げた白い小石のように、
瑞々しく語られていると感じるのは、少女の表情のせいだろう。
最後は、「すきになったら わたしの いちぶは あなたになる」
という言葉と、少女のスカートからワニの尻尾が生えている絵。
すきになることの本質しか書かれていない。
余分なことは何も書かれていない。
すきになる、というとてもシンプルなことに、
歳をとるとごちゃごちゃ説明をつけたくなる人が多い。
私はそんなふうになりたくない。
ワニも、知的でとても素敵だ。
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