2015.06.10
ふふっふふーふー ん ふふっふふーふー ん、と
夏の朝くぐもった声で鳴いていたのは、鳩だったのだと解ったのは、
おばあさんになってからだ。
大きな木の中に住むフクロウの声だと長いこと思っていた。
今日、新宿駅東口の広場で、ホームレス風の男がコンクリートの地面に寝そべって、
何か口に入れては、ペッと吐き出して、それを十羽くらいの鳩が右往左往しながら啄んでいた。
その男の笑顔。「さびしいひと」なんて言えない。
あの鳩たちも、ふふっふふーと明日の朝には 鳴くのか、
それとも私の知らない声で鳴くのか。
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