2015.02.10
ほっそりと小ぶりなイカの握り寿司。
それが私の一番好きな食べ物で、
最後の食事は、叶うことならそんなイカの握りを三貫ほど…
そう思っている。
3年前の夜のこと。疲れて絶望していた夜のこと。
「お母さんは手の届く幸せは掴んだほうがいいよ」
そう言って次男が寿司屋に電話をした。
しばらくして届いたのは、大きな寿司桶いっぱいに、
二人で食べきれないくらいのイカの握り寿司だった。
小さすぎる幸せだろうか。
確かに小さい。
けれど、その時の私は天地がひっくり返るような、
嬉しい驚きでいっぱいになった。
時々、ひとりで回転寿司に行く。
「イカ2皿お願いします」と声をかける。
食べ終えるとまた、
「イカ2皿お願いします」と声をかける。
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