Blog

2021.08.04

どくだみのquiet

三月の個展の時に、「中はどくだみで外は白いquietの万華鏡を作ってください」とのご注文を受けました。
それが出来上がりました。

私は万華鏡を作る時、はっきりしたテーマを意識してそれを表現するように作ります。
そこには言葉が介在することが殆どなのですが、
そうではない作り方をしようと決めて作り始めたのが、「quiet」でした。
できるだけ意味を考えないで、感覚だけで作る。そして、静かであること。
そういうことをquietでは自分に課しました。

でも、結局はその作り方は私にはとても難しくて、
だんだんquietを作るのが嫌になっていました。

実はquietのオブジェクトケースはガラス管を切ったものでなく、
江戸川区の高尾製作所の高尾さんにガラス金型を作ってもらい、松徳硝子で吹いてもらったものなのです。
時間もお金も職人さんの技術もかけて作ってもらったガラスを、使い切れずに私は死ぬのかと、自分が情けなく、職人さんには申し訳なく、暗澹たる気持ちでいました。
自分が決めた約束で雁字搦めになっていたのだと思います。

そこに先ほどのご注文。さらっと、なんていうこともなく…

押しても引いても開けられなかった扉を、いとも簡単にすっと開けられてしまった。
そんな感じがしました。
そして、なんだか笑いたくなりました。
無理な努力をするのもやめることにしました。
quietを、自分を縛るものでなく、自分を自由にしてくれるものにしようと思いました。




イメージ

イメージ

イメージ

イメージ

イメージ